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新入社員の教育係「仕事ができる人」に任せていませんか?新人が求める教育係の条件と失敗しない選び方


「新人の教育係は、一番仕事ができる人に任せれば安心」。つまり「新人につまずいてほしくないから、一番頼れる人に預けたい」ということですよね。ただ、その判断は新人の本音と少しズレているかもしれません。

当社の新入社員意識調査(2026年9月、有効回答342名)で、新人が選んだ理想の上司・先輩像の1位は「仕事について丁寧な指導をする」58.8%、2位は「言動が一致している」43.6%でした。「仕事で成果を上げ、周囲からも信頼されている」(32.2%)は、その次です。

新人が求めているのは、"仕事ができる人"以上に"きちんと教えてくれて、言うこととやることが一致している人"なのです。結論として、教育係は仕事の成果だけでなく、手順を説明する力や相談に応じる姿勢も確認して選ぶことをおすすめします。

この記事では、教育係を選ぶ5つの視点と、任命時に渡せる確認表・依頼例文、上司・人事との役割分担まで整理します。


この記事の要点 - 新人が理想の上司・先輩像に選んだ上位は「丁寧な指導」「言動の一致」。「成果を上げ、信頼されている」はその次だった - 新人は「厳しく叱ってくれる」先輩を理想に挙げることは少ない一方、「言うべきことを言う指導」への期待も一定数ある - 教育係の現場では「時間がない」「指導にバラツキがある」が課題に挙がっており、個人の頑張りだけに頼る体制には限界がある - 教育係は5つの視点で選び、任命時に「担当範囲・到達目標・相談先」を確認表で渡す - 社会人の「基本」は外部研修で学び、自社独自の「応用」を社内で教える分担にすると、教育係の負担を軽くしやすい

本記事では、配属先で日々の業務を教えるOJT担当者を「教育係」と呼びます。OJTとは、実際の業務を通じて知識や手順を身につける育成方法です。


「エースに任せれば安心」は本当か?

成果を出す力と、人に教える力は、同じとは限りません。 新人が理想の先輩像として多く選んだのも、「成果」より「丁寧さ」と「言動の一致」でした。

表1:新入社員が選んだ「理想の上司・先輩像」(2026年9月調査・3つまで選択・項目抜粋)

項目

割合

仕事について丁寧な指導をする

58.8%

言動が一致している

43.6%

仕事で成果を上げ、周囲からも信頼されている

32.2%

ねぎらいや褒め言葉を忘れない

29.8%

厳しく叱ってくれる

6.7%

出典:採用総研『2026年度入社 新入社員意識調査【夏】』(2026年9月、有効回答342名)

採用総研「2025年度入社 新入社員意識調査【冬】」(2026年2月、有効回答214名)でも、「丁寧な指導」60.7%、「言動が一致している」46.7%と同じ2項目が上位でした。

当社の「2023年卒新入社員意識調査~Z世代のしごと観~」(2023年4月4〜5日、当社新入社員集合研修参加者328名)でも、理想像の最多は「仕事について丁寧な指導をする」65.2%でした(調査結果の記事)。とはいえ経営者や上司からすれば、「エースの時間を教育に割いたら、売上はどうなるのか」という不安もあるはずです。

成果を出す力と、教える力は別物

「名選手が名監督とは限らない」という言葉があります。当社ブログでは、これを心理学の「知識の呪縛」で説明しています。一度身につけた知識は、知らなかった頃の状態を想像しにくくなる、という認知の偏りです。自転車に乗れる人が、バランスの取り方を言葉にできないのと似ています。

仕事ができる人ほど、手順が無意識に自動化されています。だから「見れば分かるでしょう」「なんとなく、こうするんだよ」という説明になりやすい。本人に悪気はなくても、新人には何が正解なのか分かりません。新人の頭には、知識を整理する「棚」もまだないからです。詳しくは「背中を見て覚えろ」はなぜ通用しない?で解説しています。

エース社員に任せてはいけないわけではありません。教える力も備えていれば理想的です。ただ、ここははっきりお伝えしたいのですが、「成果」だけを任命の理由にするのは避けていただきたいのです。


新人は教育係に何を求めているのか?

新人の期待で多かったのは「丁寧に指導すること」「好き嫌いで判断しないこと」「褒めること」「傾聴」でした。 一方で、言うべきことを伝える指導への期待も見られます。

表2:新入社員が「上司や会社に期待すること」(2026年9月調査・複数選択・項目抜粋)

項目

割合

丁寧に指導すること

56.1%

好き嫌いで判断しないこと

42.1%

仕事や成果をきちんと褒めること

39.2%

意見を傾聴してもらうこと

34.8%

言うべきことを言い、厳しく指導すること

31.0%

出典:採用総研『2026年度入社 新入社員意識調査【夏】』(2026年9月、有効回答342名)

「丁寧に指導すること」は、採用総研「2026年度入社 新入社員意識調査【春】」(2026年4月、有効回答342名)で58.8%でした。同「2025年度入社 新入社員意識調査【冬】」(2026年2月、有効回答214名)でも57.9%と、いずれも最多です。

外部の調査でも近い傾向があります。リクルートマネジメントソリューションズ「新入社員意識調査2026」(2026年6月公表、新入社員683名)では、上司に期待することとして「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」が50.1%で、調査開始以来初めて最多となりました(出典:同社発表)。

「丁寧にって、甘やかせということ?」と感じた方もいるかもしれません。

「厳しく叱ってほしい」と「言うべきことは言ってほしい」

表1の「厳しく叱ってくれる」は6.7%、表2の「言うべきことを言い、厳しく指導すること」は31.0%。矛盾しているように見えませんか?

私はこう読んでいます。新人は、感情的に叱られることは望んでいない。でも、ダメなところはダメと言ってほしい。叱るかどうかではなく、伝え方の問題なのです。当社ブログでも、「やる気あるのか?」ではなく「この手順が抜けていたね。次はどうする?」と、行動に焦点を当てる伝え方を紹介しています。

新人の声に見る「うれしい関わり方」と「惜しい関わり方」

同じ夏調査で、「良い意味でのギャップ」の最多は「人間関係」41.8%でした。良いギャップの自由記述全体には、次のような声がありました。

「上司が作業中でも、相談すると必ず手を止めて目を見て聞いてくれる」 「先輩も上司も手厚くサポートしてくれる」

一方、「悪い意味でのギャップ」の自由記述には、こんな声もあります。

「気を遣われ過ぎて逆に話しずらい」 「部署的に年齢層がかけ離れていて話しずらい」

いかがでしょうか。丁寧さは大切ですが、腫れ物に触るような接し方は、かえって距離を生むことがあります。新人が求めているのは「過保護」ではなく、「話しかけたら、ちゃんと向き合ってくれる」ことなのだと思います。

「資料のこの部分、見やすくて助かったよ」。当社ブログでも、こうした短い声かけの積み重ねが新人の居場所になる、と書いています。

新人が抵抗を感じやすい「曖昧な指示」

同じ夏調査の「抵抗がある業務」(複数選択)では、「上司からの指示が曖昧でも、とりあえず作業をこなす」が37.1%で2位でした。「困ったときに周囲に相談・連絡をする」に抵抗があると答えた人は7.0%です。

「今の新人は相談しない」と感じている方には、意外な結果かもしれません。教育係に意識してほしいのは、「どこまでなら自分で判断してよいか」(当社ブログでいう「安全領域」)を先に伝えることです。

  • NG:「この資料、自分で考えていい感じにまとめておいて」
  • OK:「この資料のデータ集計までは君の判断で進めてOK。デザインの方向性だけ決まったら確認させてね」

目的・期限・完成形も伝えましょう。詳しくは指示待ちを改善する指示の出し方をご覧ください。


教育係の現場では何が起きているのか?

教育係の多くは「時間がない」なかで指導しており、指導の中身にもバラツキが出やすい状態です。 教育係個人の努力に頼る体制には、限界があります。

表3:教育係・OJTを取り巻く課題(外部調査)

調査

結果

JMAM「新人・若手社員の『OJT』に関するアンケート」(2022年9月公表、育成施策担当者1,000名)

OJTに課題がある:約9割/課題の内容(複数回答):「指導側に余裕(時間)がない」64.7%、「指導にバラツキがある」63.6%

厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」(2026年7月公表)

能力開発・人材育成に「問題がある」事業所:80.1%。問題点(「問題がある」事業所の複数回答):「指導する人材が不足している」59.5%、「人材育成を行う時間がない」45.5%

教育係ご本人の立場で想像してみてください。自分の目標はそのままで「新人もよろしく」。「教えたいけれど、手が回らない」が本音ではないでしょうか。

これは教育係の能力というより、仕組みの問題だと私は考えています。「教えられる人が少ない」から「一番できる人」に集中し、その人が忙しくて教えられない。こうした流れが起きていないか、点検してみてください。

当社ブログでは、教育に必要なリソースを「時間」「どう教えるかを考える脳のエネルギー」「同じ質問に何度も応える感情的な余裕」の3つで整理しています。全部を現場のOJTで賄えば、3つとも枯渇して本業にも響く。同じ記事ではこれを「OJTの共倒れ」と呼んでいます。教育係の力は、「現場でしか教えられないこと」に集中させる設計が必要です。


新入社員の教育係はどう選ぶ?5つの視点と確認方法

仕事の知識に加えて、「丁寧さ」「言動の一致」「公平さ」「相談の受け止め方」「伝える力」の5つを確認して選びましょう。 以下は、調査結果を参考に当社が提案する選定の視点です。

つまり「誰が向いているのか、判断する物差しがない」ということですよね。年次や手の空き具合で決める前に、次の表で確かめてみてください。

表4:教育係を選ぶ5つの視点(当社が提案する確認表)

視点

参考にした新人の回答(夏調査)

確認方法

NGサイン

①手順を分けて丁寧に教えられる

理想像「丁寧な指導」58.8%

担当業務を、新人向けに手順3〜5つに分けて説明してもらう

「見れば分かる」「慣れれば大丈夫」が口癖

②言動が一致している

理想像「言動が一致」43.6%

周囲の社員に「約束や締め切りを守る人か」を聞く

新人に求めることを、本人が守っていない

③好き嫌いで判断しない

期待「好き嫌いで判断しない」42.1%

後輩や同僚への接し方に偏りがなかったかを上司に確認する

相手によって態度や口調が大きく変わる

④相談を受け止め、対応できる時刻を伝えられる

期待「傾聴」34.8%

今すぐ対応できないとき、相談内容と緊急度を確認し、話す時間を約束しているか

返事だけして、相談を放置する

⑤良い点と足りない点を言葉で伝えられる

期待「褒める」39.2%/「言うべきことを言い、厳しく指導」31.0%

「最近、後輩をどんな言葉で褒めたか・注意したか」を聞く

褒めない、感情的に叱る、注意を避けて放置する

出典:採用総研『2026年度入社 新入社員意識調査【夏】』(2026年9月、有効回答342名)

確認した結果は「説明してもらった内容」「観察した行動」「任命後に補う支援」の3点でメモしておくと、印象だけで決めずに済みます。

正直に言うと、5つすべてを満たす人はなかなかいません。まず業務知識と、相手を公平に尊重する姿勢を確認し、説明の組み立て方など練習で補える部分は任命時の支援につなげましょう。

新人教育で「やってはいけない」5つのこと

選んだあとも、次の関わり方は避けたいところです。

  1. 「見て覚えろ」で済ませる:「とりあえず見て盗んで」は、新人には「教えてもらえない」と受け取られることがあります
  2. 目的を伝えずに指示だけ出す:「自分で考えて動いて」も、判断の基準がなければ新人は立ちすくんでしまいます
  3. 相手によって態度を変える:新人は「好き嫌いで判断しないこと」を上司や会社に期待しています
  4. 感情的に叱る・人格を否定する:厚生労働省はパワーハラスメントの典型例として6類型を示しており、「精神的な攻撃」もその一つです。詳しくは厚生労働省「あかるい職場応援団」をご確認ください
  5. 気を遣いすぎて、言うべきことを言わない:新人の声にもあったように、気遣いが過ぎるとかえって話しにくくなることがあります

当社ブログでご紹介した製造業の企業様では、現場トレーナーが「もっと主体性を持て」と繰り返しても、新人の確認が増えるばかりでした。そこで呼びかけを「自分なりにどう進めたいか、仮説を添えて相談してね」に統一。仮説が違っても否定しないようにしたところ、「新人が自分の考えを添えて報告・相談してくる場面が増えた」という声が現場から聞かれるようになりました(新入社員が「指示待ち」になる理由とは?)。

「叱らない職場」と「安心して挑戦できる職場」の違いは、心理的安全性の誤解(叱られない職場)で整理しています。


教育係の任命時に、何を伝えるべきか?

「担当範囲」「到達目標」「相談先」の3つを、口頭ではなく紙で渡すことが大切です。 何を、いつまでに、どこまで教えればよいのかが分からないまま任されると、教育係は不安になり、指導もバラつきます。

「新人のこと、よろしくね」とだけ言われたら、「どこまでやればいいの?」と不安になりませんか?

表5:教育係 任命時の確認表(当社が提案する記入例)

項目

記入例

自社の決定内容

確認者

担当する新人・期間

〇〇さん/配属日〜1年目の3月末

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教えること

部署の業務手順、社内システムの使い方、取引先ごとの対応ルール

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他の担当・研修と分担すること

マナーの基本は研修、人事制度は人事が説明。教育係は業務で使えているかを確認し、必要に応じて補足する

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到達目標(3か月)

手順書を見ながら定型業務を進められる

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__

到達目標(6か月)

手順書を適切に使って定型業務を進め、不明点や例外は上司に確認できる

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__

到達目標(1年)

担当業務を一人で回せる。後輩に手順を説明できる

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__

確認方法

実際の成果物と作業手順を、教育係・上司が確認する

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__

指導時間と本業の調整

週〇時間を指導に充て、減らす業務と引き継ぎ先を決める

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__

定期の振り返り

例:毎週15分、新人と振り返り。月1回、上司・人事と3者で共有

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__

相談先・不在時の代わり

業務=上司〇〇さん/様子・メンタル面=人事〇〇さん/教育係不在時の質問先=〇〇さん

__

__

すぐ人事に連絡する場面

欠勤・遅刻が続く、表情や口数が急に変わった、「辞めたい」と口にした

__

__

新人の特性情報

適性検査の結果など、指導の参考になる情報の共有範囲

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__

教育係の評価

新人育成への取り組みを、教育係本人の評価にどう反映するか

__

__

見直し日

新人の習熟状況と教育係の負担を確認する日

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__

※記入例は当社が提案する一例です。自社の業務に合わせて書き換えてください。

外部研修を使う場合は、「研修で何を教えたか」も教育係に共有しましょう。知らないと「そんなことも知らないの?」と新人を責めたり、一から教え直したりしがちです。当社ブログでは「Aさんは電話対応が少し苦手なのでフォローをお願いします」といった引き継ぎシートをおすすめしています。

任命するときの伝え方(例文)

〇〇さんに、新入社員△△さんの教育係をお願いしたいと考えています。〇〇さんにお願いしたい理由は、仕事を分かりやすく説明してくれること、そして誰に対しても態度が変わらないことです。教えていただきたい範囲と目標は、この確認表にまとめました。マナーの基本は研修で扱います。現場では使えているかを確認しながら、部署の仕事を中心に教えてください。週〇時間は教育の時間として業務計画に入れ、□□の業務は××さんに引き継ぎます。困ったときは一人で抱えず、上司の□□さんか人事の私に相談してください。

ポイントは「なぜあなたなのか」を、「仕事ができるから」ではなく「教え方が丁寧だから」と伝えることです。期待されている役割が、教育係本人にもはっきり伝わります。


教育係に任せきりにしないために、会社が整えること

会社が整えるべきなのは「時間」「基準」「相談先」「評価」の4つです。 教育係を任命して終わりにせず、支える仕組みまでをセットで考えましょう。

「任命したら、あとは現場に任せたい」が人事の本音かもしれません。ただ、ここははっきりお伝えしたいのですが、任命して終わりにすると教育係は孤立しやすくなります。

表6:教育係を支える4つの仕組み(当社が提案する運用例)

仕組み

整えないと起きやすいこと

会社がやること

時間

本業に追われて、教育が後回しになる

教育の時間を業務計画に入れる。本業の目標を調整する

基準

教える人によって内容や厳しさが変わる

基本は研修で学ぶ機会をつくる。部署の到達目標を文書にする

相談先

教育係が一人で抱え込む。新人の変化を見逃す

上司・人事との定期共有の場をつくる。すぐ連絡する場面を決める

評価

教育に時間を使うほど損をする

新人育成への取り組みを、教育係本人の評価に反映する

【図1】新人・教育係・上司・人事の役割分担

一人の教育係に、指導も評価もメンタルケアも任せるのは無理があります。当社ブログでは、教育係は手順の説明と日々の短いフィードバック。上司は仕事の配分と評価。人事は面談の設計と部署間のばらつき確認、と整理しています(新入社員研修後の30日・90日フォロー)。

当社のOJT時短指導キットには、事実・行動・影響の3ステップで伝える「SBI型」の台本などをまとめています。現場には「負担を減らすもの。最低限ここだけでいい」と伝えて渡すのがポイントです。


「基本は外部、応用は社内」で教育係の負担を減らす

社会人としての基本は外部研修で学び、自社独自の仕事は教育係が教える、という分担をおすすめします。 教育係は、基本が現場で使えているかを確認しながら、自社の仕事に時間を使えます。

社会の標準である「基本」を知らないと、自社独自の「応用」の意味も理解しにくいものです。家の土台がないまま、壁を組もうとするようなものです。

表7:「基本」と「応用」の分担例

比較項目

基本(外部研修で学ぶ)

応用(教育係・上司が教える)

内容

敬語・席次・挨拶、電話応対、名刺交換、ビジネスメール、報連相の声のかけ方、SNSのルール・守秘義務

自社製品・サービスの知識、部署の業務手順、取引先ごとの対応ルール、社内システム

教える人

社外の講師

教育係・上司

ねらい

社会の標準を知り、どの会社でも通用する型を身につける

型を土台に、自社のやり方を身につける

現場での役割

教育係・上司が、業務で使えているかを確認し補足する

教育係・上司が、実際の仕事を通じて教える

「研修は社内でできるのでは?」と考える前に

担当者の方から「研修は内製できるのではないか?」というご質問をよくいただきます。つまり「ビジネスマナーくらいなら、社内の先輩でも教えられる」ということですよね。おっしゃる通り、社内で教えることもできます。

ただ、社内だけだと新人に甘えが出やすく、教える側もハラスメントを気にして言うべきことを言いにくくなりがちです。他社の新人と比べて自分の立ち位置を考える機会も限られます。

もう一つが「評価関係の壁」です。社内の先輩や上司は「評価する人」でもあります。「失敗していいよ」と言われても、評価が気になって本音を出しにくい。評価と切り離された社外の場だからこそ、思い切って失敗できる面があります(新人教育に「心理的安全性」が不可欠な理由)。社内の人が言うと「小言」に聞こえることも、社外の講師なら「社会の常識」として受け止めやすいものです。

一方で、外部研修にも弱点はあります。自社の製品知識や取引先ごとのルールは教えられませんし、日程も自社の都合に合わせきれません。受けっぱなしでは、現場で使われずに終わることもあります。だからこそ分担が大切なのです。比較の詳細は新入社員研修は内製化か外部委託か?で整理しています。

当社の研修は、人事の方の見学(オブザーブ)が自由です。人事の方が講師の指導法を持ち帰り、教育係と共有すれば、教える側の基準を揃えるきっかけにもなります。


採用総研の新入社員研修:基本を学ぶ場と、教育係への「指導のヒント」

採用総研の新入社員研修は、春の2日間で社会人の基本を学び、適性検査CUBICの結果と個別フィードバック面談で、教育係が指導の手がかりを得られるようにします。 「選び方も仕組みも分かった。でも、基本を教えるところまで社内で担うのは難しい」と感じた方に、その部分を補う形でご活用いただけます。

表8:採用総研・2027年度 春の本研修プログラム(抜粋)

日

テーマ

代表的な演習

1日目

求められる人材とビジネスマナー

傾聴トレーニング、敬語マスターのための接客7大用語コンテスト、名刺交換・ビジネスメール、電話応対ロールプレイング

2日目

社会人へのマインドセット

チームワークと自責の概念、PDCA、伝えないと伝わらない「プラスのストローク」(相手を認める言葉や態度を伝える演習)

※プログラムは一部変更の可能性があります。

出典:採用総研『2027年度新入社員集合研修のご提案』

名刺交換や電話応対は反復トレーニング、ビジネスメールは実際に作成、報連相は先輩・上司への声のかけ方を演習します。座学中心ではなく、考える→相談する→整理する→理解する、というワークやアウトプットを中心に進めます。受講生の声(提案書掲載)です。

「名刺交換や電話応対などは実践形式で学べて気になる点はすぐに聞けるので、その場で間違いを修正し、体に染みつけて覚えることができた。」

教育係に役立つ3つの仕組み

  • 適性検査CUBICの結果を共有:性格・パーソナリティ、ストレス耐性(対人・目標・繁忙・拘束)、社会性、興味領域、意欲の源泉を多面的に可視化します。上司やメンターに共有し、指導の参考にできます
  • 研修後の個別フィードバック面談:研修後に教育担当者の方と個別に面談し、一人ひとりのストレス耐性やモラトリアム傾向(退職傾向)に合わせた指導・フォローの方法をご提案します。この面談を目的にしたリピートも多くいただいています
  • 営業担当と登壇講師が同じ人物:貴社の課題をヒアリングした本人が研修に立つため、伝言ゲームが起きません。「うちの教育係はここに困っている」という現場の課題を、研修の中身に直接反映できます

日程・料金

研修

日程

料金

春の本研修(2日間)

①2027年4月2日(金)・5日(月) ②2027年4月5日(月)・6日(火) 各9:30〜17:00

60,000円(税別)/名

夏のフォロー研修(1日)

2027年8月末〜9月上旬

30,000円(税別)/名

冬のフォロー研修(1日)

2028年1月末〜2月上旬

30,000円(税別)/名

※春は①・②のいずれかを選択。会場:東京=TKPガーデンシティPREMIUM東京駅丸の内中央/大阪=新大阪丸ビル別館/オンライン=Zoom(オンライン会場は春の①日程のみ)。1名からご参加いただけます。春のみ、フォローのみの受講も可能です。

早期申込キャンペーン:2026年12月25日(金)までに春の本研修(2日間)をお申し込みいただくと、夏・冬のフォロー研修が無料になります(夏・冬の計2日間、60,000円(税別)/名相当)。

「割高では?」というご質問もいただきますが、早期申込なら4日間で60,000円(税別)/名、1日あたり15,000円(税別)です。

2025年度は79社・342名にご参加いただき、受講生満足度は93%(2025年度)でした。研修の詳細は新入社員研修のサービスページをご覧ください。


新入社員の教育係に関するよくある質問

Q1. 教育係は入社何年目の社員に任せるのがよいですか? A. 年次で決めるより、本記事の5つの視点で選ぶことをおすすめします。年次が近い先輩には寄り添いやすさ、上の先輩には経験という良さがあります。新人の声に「年齢層がかけ離れていて話しずらい」とあったように、年の離れた先輩が担当する場合は、話しかけやすい雰囲気づくりを意識していただくとよいと思います。

Q2. 教育係と評価者(上司)は同じ人でもよいですか? A. 分けられるなら、分けることをおすすめします。新人にとって評価者は、どうしても「弱みを見せたくない相手」になりやすいからです。少人数の職場で同じ人が担う場合は、「相談の場」と「評価の場」を時間や場所で分け、それぞれの目的を新人に伝えておくと安心です。

Q3. 教育係の本来の業務量は減らすべきですか? A. 何らかの調整はしていただきたいところです。教育を「空いた時間にやるもの」にせず、指導時間を業務計画に組み込みましょう。減らす業務と引き継ぎ先は、上司と教育係で具体的に決めておくことをおすすめします。

Q4. 教育係自身にも研修は必要ですか? A. 教える側の基準を揃える機会は、あったほうがよいと考えています。当社ブログでも、新人にいくら手厚い教育をしても、指導する側の物差しがそのままでは学んだことが現場で活きない、と書いています。当社の新入社員研修は人事の方の見学(オブザーブ)が自由ですので、講師の指導法を持ち帰り、教育係と共有するきっかけとしてご活用いただけます。


まとめ:教育係は「できる人」より「教えられる人」を

教育係は、「選び方」と「会社の支え方」をセットで考えましょう。

  • 選ぶ:仕事の成果だけでなく、丁寧さ・言動の一致・公平さ・相談の受け止め方・伝える力を確認する
  • 伝える:任命時に「担当範囲・到達目標・相談先」を確認表で渡し、「なぜあなたなのか」を言葉にする
  • 支える:時間・基準・相談先・評価を会社が整え、基本は外部、応用は社内で分担する

ここが本質ですが、教育係選びは「適任者を一人探すこと」ではなく、「その人が教えられる環境まで用意すること」です。「誰が一番仕事ができるか」ではなく、「誰なら新人が安心して質問できるか」という目で、もう一度社内を見渡してみてはいかがでしょうか。ご参考になれば幸いです。


教育係が「自社の仕事」に集中できる体制を

「基本まで社内で教える余力はない」。そう感じた方へ。社会人の基本を研修で学び、CUBICで一人ひとりの特性を教育係に共有する。採用総研の新入社員研修は、教育係が部署の仕事を教えることに集中できる状態づくりをお手伝いします。CUBICの結果を現場の指導にどう活かすか、基本研修と社内指導をどう分担するかは、お問い合わせ時にご相談いただけます。

※2026年12月25日(金)までに春の本研修をお申し込みいただくと、夏・冬のフォロー研修が無料になる早期申込キャンペーンを実施中です。


参考資料

  • 採用総研『2026年度入社 新入社員意識調査【夏】』(2026年9月、有効回答342名)
  • 採用総研『2026年度入社 新入社員意識調査【春】』(2026年4月、有効回答342名)
  • 採用総研『2025年度入社 新入社員意識調査【冬】』(2026年2月、有効回答214名)
  • 日本能率協会マネジメントセンター『新人・若手社員の「OJT」に関するアンケート』(2022年9月公表、育成施策担当者1,000名)https://www.jmam.co.jp/hrm/news/1277057_7494.html
  • 厚生労働省『令和7年度能力開発基本調査』(2026年7月公表)https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00233.html
  • リクルートマネジメントソリューションズ『新入社員意識調査2026』(2026年6月公表)https://www.recruit-ms.co.jp/news/pressrelease/2920470000/
  • 厚生労働省「あかるい職場応援団」パワーハラスメントの定義・6類型 https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/harassment_list/power-hara/
  • 採用総研「2023年卒新入社員意識調査~Z世代のしごと観~」(2023年4月4〜5日、当社新入社員集合研修参加者328名)https://www.ssen.co.jp/blog/57
  • 採用総研ブログ「2026年度新入社員の特徴とは?Z世代の『本音』を知り、早期離職を防ぐ指導のコツ」https://www.ssen.co.jp/blog/c355
  • 採用総研ブログ「Z世代が求める『居心地の良さ』の正体。今の若手が本当に求めている職場とは」https://www.ssen.co.jp/blog/330
  • 採用総研ブログ「配属初日の『沈黙』が怖い担当者へ。Z世代の心を開く『受け入れコミュニケーション・設計図キット』」https://www.ssen.co.jp/blog/274
  • 採用総研ブログ「新入社員研修のプログラム作成でよくある"FAQ10選"」https://www.ssen.co.jp/blog/t477
  • 採用総研ブログ「【2027年入社版】おススメ新入社員集合研修の価格・特徴を徹底比較!」https://www.ssen.co.jp/blog/135
  • 採用総研ブログ「【新入社員受け入れ研修】内容や受講対象、研修実施のメリットとは?」https://www.ssen.co.jp/blog/92

山岡龍市
山岡龍市
2018年入社。 小規模~大規模まで、企業規模を問わず、新卒採用のサポートを実施。 中でも採用が難しいとされる施工管理職としての理系採用でのコンサルティング実績多数。 ターゲティング採用やマッチングイベントなど、企業からのアプローチ型(攻めの)採用に精通し、現在はセクションリーダーとして若手社員教育も手掛ける。 また、内定者/新入社員研修の講師も兼任し、採用後の社員定着まで見据えたトータルの提案が得意。 その他、採用ノウハウセミナーにも多数登壇実績あり。
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