
新入社員研修は外部委託できる?内製との使い分けと失敗しない選び方を解説
採用人数が増えるにつれて、OJT中心の育成に限界を感じる人事担当者も多いのではないでしょうか。社内に研修を設計できる人材がいない、時間が十分に確保できないなど、対応に悩むケースもあります。こうした課題の解決策として検討したいのが、新入社員研修の外部委託です。本記事では、内製と外部委託の使い分け方や、それぞれのメリット・デメリット、委託会社を選ぶ際のポイントを解説します。ぜひお役立てください。
新入社員研修の目的と重要性
新入社員研修の目的は、仕事の全体像と求められる姿勢を理解し、自分の力で業務を進めるための土台を整えることです。土台が不十分なままでは、その上に知識やスキルを積み重ねても、十分に生かせない可能性があります。全員に共通する知識やスキルは研修で体系的に身につけ、その後の実践につなげることが重要です。
研修では、社会人としてのマナーやマインドだけでなく、自社のビジネスモデルや商品・サービス、仕事の進め方なども学びます。これらを理解することで、配属後の業務にもスムーズに取り組みやすくなります。
また、組織の価値観や行動基準を伝えることも、研修の重要な役割です。会社の一員として求められる行動がわかれば、新入社員も迷いを減らして業務に取り組めるでしょう。とくに急成長中の企業では、採用人数が増えるほど、OJTだけでは教える内容や指導の質に差が生じやすくなります。配属先の上司によって教え方が異なると、新入社員の成長スピードにも影響するでしょう。
適切な研修を実施することで、早期戦力化に加え、仕事へのモチベーションや会社への愛着を育む効果も期待できます。
新入社員研修の内製化と外部委託はどう使い分けるべき?
新入社員研修は、すべてを社内で行うか、外部に任せるかの二択で考える必要はありません。教育内容ごとに内製と外部委託の向き・不向きを見極め、役割を分けることがポイントです。
外部委託に向いている研修
- ビジネスマナーやマインドセット、電話・メール対応などの基礎スキル
- 業界を問わず共通する基本が多く、専門家に任せることで指導の質をそろえやすい
- 社内の先輩が指導する場合に起こりやすい、教え方のばらつきを抑えやすい
内製に向いている研修
- 企業理念やカルチャー、自社の商品・サービスに関する知識、OJTによる実務フォローなど
- 自社の社員が自分の言葉で伝えることで、新入社員が企業理念や自社の商品・サービスへの理解を深めやすくなる
このように、内製と外部委託で役割を分け、外部の専門性と社内の知見を組み合わせて実施する研修を「ハイブリッド型研修」と呼びます。
ハイブリッド型研修を導入した企業の成果と現場の声
ハイブリッド型研修は、外部委託と内製の役割を分けることで、人事や現場の負担軽減につながる可能性があります。
ある中堅メーカーでは、すべての研修を社内講師が担当していたため、準備や登壇の負担が人事・現場の本来の業務に影響していたといいます。そこで、入社直後の3日間に行うビジネスマナー・マインド研修だけを外部のプロ講師に委託し、自社理解や実務に関する研修は引き続き社内で行う形へ見直しました。見直し後は、研修準備にかかる人事の残業時間が減り、入社1年以内の離職率にも改善が見られたとのことです。ただし、これは一社の事例であり、同じ効果が得られるとは限りません。
現場からは、マナーや基本動作を最初から教え直す手間が省けたという声が上がりました。新入社員からも、指示や動作の理由がわかり、電話対応への不安が和らいだという声が寄せられています。
このように、研修内容に応じて役割を分担することは、人事の負担を軽くする方法のひとつです。
新入社員研修を外部委託するメリット
新入社員研修を外部委託すると、専門的な知識や新しい視点を取り入れながら、社内の準備負担を軽減できます。ここでは、代表的な3つのメリットを紹介します。
専門的な知識やスキルが得られる
外部委託のメリットは、研修分野に精通した講師から、専門的な知識やスキルを学べることです。
研修会社には、ビジネスマナーやコミュニケーション、ロジカルシンキング、ITスキルなど、分野ごとの専門講師が在籍しています。研修を専門とする講師が担当することで、講師個人の経験や指導力による質のばらつきを抑えやすくなります。
また、多くの企業で研修を実施してきた経験から、新入社員がつまずきやすいポイントや、理解を深めるための指導方法を把握している点も強みです。新しい学習手法を取り入れたプログラムを受講できることも、外部委託ならではの利点といえます。
社内にノウハウがない分野でも、必要な知識やスキルを効率よく学べるため、早期戦力化につながる可能性があります。さらに、研修の設計や進行方法を参考にすることで、人事担当者が自社の研修に生かせるノウハウを得られることも期待できます。
社内にはない新しい視点や考え方を持つことが可能になる
外部委託には、社内だけでは得にくい視点や考え方を取り入れられるメリットがあります。
社内の人だけで研修を行うと、自社独自のルールや慣習が当たり前になりがちです。一方、外部講師は第三者の立場から、社会人として求められる考え方や行動を客観的に伝えられます。
新入社員にとっても、社外の専門家から「どの会社でも通用する基本」を学ぶことは、内容を理解し、納得するきっかけになります。先輩社員から教わる場合とは異なる視点に触れることで、学びを深められるでしょう。
公開講座型の研修であれば、他社の新入社員と交流し、視野を広げる機会にもなります。また、外部講師に研修中の様子を観察してもらうことで、新入社員の傾向や課題を客観的に把握し、配属後の育成に役立てることも可能です。
研修にかかる手間を減らせる
外部委託を活用すると、研修の企画や準備にかかる人事担当者や現場社員の負担を軽減できます。
研修を社内で一から設計する場合、目的の整理やカリキュラムの作成、教材準備、講師の手配、会場・備品の準備、受講者の管理など、多くの業務が発生します。新入社員研修の時期は採用活動とも重なりやすく、人事担当者の負担が大きくなりがちです。
外部に委託すれば、こうした企画や準備の一部を任せられます。その分、配属先との調整や受け入れ体制の整備など、社内で対応すべき業務に注力できる点は大きなメリットです。
また、現場社員が講師を担当する機会を減らせれば、本来の業務に集中しやすくなり、研修による業務への影響も抑えられるでしょう。
新入社員研修を外部委託するデメリット・注意点
新入社員研修の外部委託には多くのメリットがある一方で、費用やカリキュラムの適合性には注意が必要です。導入後のミスマッチを防ぐため、代表的な2つの注意点を確認しましょう。
コストがかかりやすい
外部委託では、講師料や教材費、会場費などが発生するため、社内で実施する場合より費用がかさむことがあります。受講人数や研修期間によって総額は変動し、内容や実施形式によっては、3~4時間程度の研修でも1回あたり数十万円かかるケースがあります。
費用と得られる効果のバランスを踏まえ、自社に合った研修方法を選ぶことが大切です。
カリキュラムの内容が自社と合わない可能性がある
研修会社のプログラムは、幅広い企業で活用できるように設計されているものが多く、パッケージ型の研修をそのまま導入すると、自社の実情に合わない内容が含まれる場合もあります。また、研修会社によってはカリキュラムの詳細が公開されておらず、事前に内容や品質を判断しにくいこともあるでしょう。
こうしたミスマッチを防ぐには、依頼前に研修の目的や自社の課題を共有し、具体的な内容や進め方を十分にすり合わせることが重要です。必要に応じて、内容をカスタマイズできるかどうかも確認しておきましょう。
新入社員研修の委託会社選びのポイント
委託会社を選ぶ際は、費用だけでなく、研修の品質やカスタマイズ性、実施後のフォロー体制も確認することが大切です。前章で紹介したデメリットや注意点を踏まえ、比較検討の際に押さえておきたい4つのポイントを解説します。
費用
委託会社の費用を比較する際は、研修内容や実施形式、受講人数などの条件をそろえ、総額を確認することがポイントです。
費用は、研修のテーマや時間、受講人数、講師、受講形式によって大きく異なります。公開講座は1人あたり数万円、講師を自社に招く講師派遣型は1日10万円以上が目安の一例です。
注意したいのは、研修形式によって料金の単位が異なる点です。公開講座やオンライン講座は「1人あたり」、講師派遣型は「1回・1日あたり」、eラーニングは「1IDあたり」で設定されていることが多く、単純な金額の比較では判断を誤る可能性があります。見積もりを依頼する際は、教材費や会場費なども含めた総額を確認しましょう。
また、費用の安さだけで委託会社を決めるのは避けたいところです。研修の目的を達成できるか、学んだ内容を定着させられるかといった点も考慮し、費用対効果を踏まえて判断することが大切です。
なお、一定の要件を満たす外部研修は、厚生労働省の「人材開発支援助成金」の対象となり、研修費用の一部が助成される場合があります。対象となる条件や助成内容は変更されることがあるため、最新情報は厚生労働省のWebサイトで確認しましょう。
実績・研修品質
委託会社を選ぶ際は、自社と同じ業界や同規模の企業での導入実績を確認することが重要です。
たとえば、成長中のベンチャー企業と大手企業では、新入社員に求める役割や研修の進め方が異なる場合があります。自社に近い企業の導入実績があれば、研修内容が自社の課題に合っているかを判断する材料になります。
あわせて、講師の質も確認しておきたいポイントです。講師の実務経験や登壇実績に加え、研修会社が講師の育成に取り組んでいるかもチェックしましょう。継続して利用している企業の有無や受講者の満足度なども、研修品質を判断する際の参考になります。
無料セミナーや体験会が用意されていれば、実際に参加して研修の進め方や講師との相性を確かめるのもひとつの方法です。
カスタマイズ性があるか
自社とカリキュラムのミスマッチを防ぐには、研修内容を柔軟に調整できる委託会社を選ぶことがポイントです。事前のヒアリングで自社の課題や新入社員の特徴を丁寧に把握してくれるかを確認しましょう。
また、自社の事例や実際の業務を研修内容に盛り込めるかどうかも重要です。職種ごとに研修内容を分けたい場合は、営業職やエンジニア職など、職種別のプログラムに対応できるかも確認しておきましょう。
社内で実施する理念研修やOJTとの組み合わせまで相談できる会社であれば、外部委託と内製を組み合わせたハイブリッド型研修も設計しやすくなります。
研修後のフォローがしっかりしているか
研修の効果を高めるには、実施後のフォロー体制が整っている委託会社を選ぶことも重要です。研修で学んだ内容を配属後の行動につなげるためには、継続的な振り返りや支援が欠かせません。
具体的には、受講者レポートの提出や上司・人事へのフィードバック、フォローアップ研修の有無などを確認しましょう。OJTとの連携や、新入社員の育成全般について相談できるかどうかも判断材料になります。
研修を実施するだけでなく、その後の成長まで見据えて支援してくれる会社を選ぶことで、研修の成果を継続的な人材育成につなげやすくなるでしょう。
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まとめ
新入社員研修の企画や設計に課題を感じている場合は、外部の専門知識を活用することも選択肢のひとつです。内製と外部委託のどちらか一方に限定せず、教育内容に応じて役割を分けることがポイントとなります。ビジネスマナーや基礎スキルは外部の専門家に任せ、企業理念や自社の業務は社内で伝えるハイブリッド型研修も効果的です。
委託会社を選ぶ際は、費用対効果や導入実績、カスタマイズ性、研修後のフォロー体制を確認し、自社の課題や育成方針に合ったサービスを選ぶことが大切です。
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