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【経営層への提言】なぜ「直感で選んだ人材」が入社後に伸びないのか?AI時代の最終面接で起こる『優秀さの錯覚』と、トップが担うべき「戦略的アップデート」

この記事を読んでほしい方

  • 最終面接官を務める経営者・役員の方

  • 「トップが気に入った人材ほど、現場で活躍しない」というジレンマを抱える人事責任者の方

  • 経営層に対し、視座の高い「面接官トレーニング」や「採用戦略の刷新」を提案したい方

所要時間:約5分

「今年の新卒は、みんなロジカルで頼もしいな」

最終面接を終えた経営層からそんな満足げな感想が出たら、それは危険信号かもしれません。

その「頼もしさ」の正体は、学生本人の能力ではなく、生成AIが演出した「優秀さの錯覚」である可能性が高いからです。

学生側はすでに生成AIで武装し、完璧な受け答えを準備しています。これに対し、企業側が「過去の成功体験(勘と経験)」だけで挑むのは、竹槍で戦車に挑むようなものです。

AI時代における最終面接の役割は、「学生をジャッジする場」から大きく変質しました。

企業側もテクノロジーを駆使して「能力評価」を済ませ、経営層は人間にしかできない「応募者体験(CX)の総仕上げ」に徹する。

今回は、採用のミスマッチを防ぎ、本当に欲しい人材を獲得するために、経営層が受けるべき「面接官トレーニング(戦略アップデート)」の重要性について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.1. 「優秀な経営者」ほど、AIの模範解答を好んでしまう皮肉
  2. 2.2. 企業の「AI武装」で対抗せよ(Scienceの領域)
  3. 3.3. 経営層の役割は「ジャッジ」ではなく「応募者体験」の最高演出(Artの領域)
  4. 4.4. なぜ今、経営層に「面接官トレーニング」が必要なのか?
  5. 5.まとめ:採用を「運任せ」にしないために

1. 「優秀な経営者」ほど、AIの模範解答を好んでしまう皮肉

なぜ、百戦錬磨の経営者が、新卒のAI回答を見抜けないのでしょうか。

決して目が曇っているわけではありません。「経営者が好むプレゼン」と「AIの出力特性」が、構造的に酷似しているからです。

  • 経営者が評価するポイント: 「結論ファースト」「構造化されている(第一に、第二に…)」「視座が高い(一般論としての正解)」

  • 生成AIの標準的な出力: 「結論から記述」「箇条書きが得意」「WEB上の集合知(正論)を統合するのが得意」

つまり、経営者が「この学生は地頭が良い」と直感した要素が、実は「ChatGPTの基本性能」だったというケースが多発しています。

この「錯覚」に気づかないまま採用してしまうと、入社後に「言われたことは綺麗にまとめるが、自分の頭で考えられない人材」というミスマッチが露呈します。


2. 企業の「AI武装」で対抗せよ(Scienceの領域)

では、どうすればこの錯覚を防げるのか。

答えはシンプルです。「AIにはAIをぶつける」のです。

人間の短時間の面接だけで、AI武装した学生の基礎能力を見極めるには限界があります。

だからこそ、「地頭の良さ」や「ストレス耐性」「論理的思考力」といった能力評価は、テクノロジー(Science)に任せるべきです。

  • AI面接ツールの導入: 構造化された質問データから、スキルの有無を客観的にスコアリングする。

  • 適性検査の多角的分析: 思考の癖や行動特性を数値化し、自社のハイパフォーマーと比較する。

「能力的な要件はすべてクリアしている」という担保をデータで取り、最終面接の前に「能力のジャッジ」を終わらせておく。これがAI時代のスタンダードです。


3. 経営層の役割は「ジャッジ」ではなく「応募者体験」の最高演出(Artの領域)

能力評価をテクノロジーに任せた後、最終面接で経営者が全精力を注ぐべき仕事。

それは、これまで積み上げてきた「応募者体験(CX:Candidate Experience)」を最高潮に高め、入社を決意させること(Artの領域)です。

今の学生は「選ばれる」こと以上に、「自分の価値観やキャリアに合うか」をシビアに見ています。

ここで必要なのは、人事からの丁寧なバトンパス(情報連携)です。

・人事からのインプット例:

   「彼は〇〇という原体験があり、そこで悩んでいます」

   「競合A社と迷っていますが、ネックは〇〇です」

この文脈を共有された経営者が、

「君が迷っているそのポイントについて、私の経営哲学を話そう」

と語りかける。

「自分のことをここまで理解してくれているトップがいる」という感動的な応募者体験こそが、AIには決して真似できない最強のクロージングとなります。

4. なぜ今、経営層に「面接官トレーニング」が必要なのか?

これまで多くの企業で「役員向けの面接官研修」が敬遠されてきました。

「今さら面接のマナーや手法を教わるなんて」という抵抗感があるからです。

しかし、ここで言うトレーニングとは、マナー研修ではありません。

市場環境が変われば「事業戦略」を見直すように、「ヒト(人的資本)」に関する評価軸と戦略をアップデートする、重要な経営会議です。

私たちは、経営層こそ以下の内容をインプットする「採用戦略アップデート研修」が必要だと考えます。

  • 市場環境の共有: 今の学生がどうAIを使い、何を求めて企業を選んでいるか。

  • 要件定義の更新: 過去の「優秀像」ではなく、今の事業フェーズで活躍する人材データは何か。

  • 役割の再定義: 「見極め」は現場とAIに任せ、トップは「魅力付け」に特化するという合意形成。

  • 構造化面接の理解: 属人的な「勘」ではなく、企業の共通言語としての評価軸を持つこと。

これらを短時間でインプットし、経営陣で目線を合わせる。

これを行わずに最終面接に臨むのは、地図を持たずに航海に出るようなものです。

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まとめ:採用を「運任せ」にしないために

学生と企業の双方がAIを活用できる今、最終面接での「探り合い」は非効率です。

企業側もAIやデータを活用して「能力評価(Science)」を効率化し、その分、経営者は「ビジョンの共有」や「応募者体験の向上(Art)」といった、人間にしかできない濃密な時間に全力を注ぐ。

この「役割分担」と、それを実行するための「情報のアップデート」こそが、採用成功の鍵を握ります。

「ウチの経営陣にも、この『市況感』や『役割分担』を短時間でインプットしてほしい」

「経営層向けの面接官トレーニング(戦略セッション)を実施したい」

「能力評価を自動化するための、具体的なAI活用法を知りたい」

そのようにお考えの人事責任者様、経営者様。

ぜひ、採用総研の「採用コンサルティング / 面接官トレーニング」にご相談ください。

貴社の経営リソースである「ヒト」の獲得力を最大化するための、最適な戦略と実行プランをご提案いたします。

[お問い合わせはこちら:無料相談受付中]

【採用総研のコンサルティングサービス】


宮本一平
宮本一平
2014年入社。営業マネージャー。企業の採用・教育に対して戦略的・包括的サポートを行う。採用においては、トレンドに合わせて採用難度の高い「機電系」特化の大量採用の採用フロー設計やコンテンツ設計を担当し、また設立間もない「ベンチャー企業」の採用戦略設計や実務運用フォローアップなども行う。教育においては、セールスだけでなく講師も兼任し、企業ニーズに合わせたプログラム設計から、階層別研修の全体設計までトータルプロデュース。戦略的人事コンサルタントとして、採用・教育ノウハウをクライアントに還元すべく、セールスフィールドにいることをモットーとしている。プライベートでは、看護師の妻を持ち、2人の男の子の父親で、自らが外遊び大好き「全力少年」。

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