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【27卒採用】「AI禁止」はもう不可能。生成AI時代のES選考で、採用担当者が再定義すべき『提出の目的』とは?

この記事を読んでほしい方

  • 日本の新卒採用担当者・人事責任者の方

  • 生成AIの普及により、ES選考の評価軸に悩んでいる方

  • マンパワー不足で、採用活動の質と効率のバランスに課題を感じている方

所要時間:約5分

「このエントリーシート、文章は完璧だけど、どこか冷たい…」

27卒採用の準備を進める中で、そんな違和感を抱く瞬間が増えていませんか?

生成AIの爆発的な普及により、学生がES(エントリーシート)作成にAIを活用することは、もはや「不正」ではなく「当たり前の手段」となりつつあります。この流れは不可逆であり、止めることは誰にもできません。

しかし、多くの企業が昨年のままの評価基準で書類選考を行おうとしています。

AI時代の採用において必要なのは、AIを見破るテクニック(視点)を変えることだけではありません。

採用担当者自身の「視野(見る範囲)」を広げ、「視座(見る高さ)」を引き上げる意識変革です。

今回は、生成AI時代のES選考において、採用担当者がどのように意識をアップデートし、「提出の目的」を再定義すべきかについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.1. 前提:学生のAI活用は「止められない」と認める
  2. 2.2. 「視点・視野・視座」の3つをアップデートする
    1. 2.1.① 視点(Point of View)の転換:
    2. 2.2.② 視野(Perspective)の拡大:
    3. 2.3.③ 視座(Stance)の向上:
  3. 3.3. 選考目的は「自社」の中にしかない
  4. 4.4. 「一般論」を封じ、「原体験」を引き出す設問設計
  5. 5.5. 採用担当者一人で抱え込まず、周囲を巻き込む
  6. 6.まとめ:AIは採用担当者への「挑戦状」。今こそ採用の再構築を


1. 前提:学生のAI活用は「止められない」と認める

まず、残酷な現実を直視しましょう。今後、27卒以降の採用活動において「学生がES作成にAIを使わない」という状況は、事実上あり得ません。

これまでの採用活動において、ESは「基礎的な文章力」や「論理的構成力」を測るツールとしての側面もありました。しかし、ChatGPTをはじめとする生成AIを使えば、今や誰でも平均点以上の、論理的で美しい日本語が一瞬で書けてしまいます。

この状況を「けしからん」と嘆くのは、電卓の持ち込みを禁止して計算能力を測ろうとするようなものです。

デジタルネイティブである学生にとって、AIはタイパ(タイムパフォーマンス)を劇的に向上させる「有能な文房具」です。

これを禁止したり、AIチェッカーを使って粗探しをしたりすることにリソースを割くのは、多忙な採用担当者にとって「最大の無駄」と言えるでしょう。AIの介入は「防ぐべき不正」ではなく「前提条件」なのです。

2. 「視点・視野・視座」の3つをアップデートする

AIが「整った文章」を量産してくれる今、採用担当者はこれまでの延長線上で物事を考えてはいけません。以下の3つの軸で、採用のOSを入れ替える必要があります。

① 視点(Point of View)の転換:

「文章の巧拙」から「情報の深さ」へ

これまでは「てにをは」や「論理構成」を見ていました。しかし、AIがそれを代行できる今、見るべきは「その人固有の原体験(一次情報)」が含まれているかどうかです。綺麗な文章よりも、泥臭い事実を見に行きましょう。

② 視野(Perspective)の拡大:

「ES単体」から「採用プロセス全体」へ

ESという書類一枚に固執していませんか? 視野を広げれば、ESはあくまで入り口に過ぎないと気づきます。

「AIで効率化した時間を、学生は何に使ったのか?」

「書類選考で落とすのではなく、会って話す時間をどう増やすか?」

採用フロー全体を見渡し、ESのウェイトや役割を柔軟に組み替える広い視野が必要です。

③ 視座(Stance)の向上:

「判定者」から「経営の代弁者」へ

これが最も重要です。「送られてきたものを採点する」という作業者の視座から脱却しましょう。

「経営戦略上、今本当に必要なのはどんな人材か?」

「AI時代に、人間が担うべき価値とは何か?」

経営者と同じ高い視座に立ち、採用基準そのものを再設計する姿勢が求められています。



3. 選考目的は「自社」の中にしかない

視座を高く持ったとき、最初に行うべきは「目的の再定義」です。

「AI時代のESで何を見るべきか」という問いに、市場共通の正解はありません。その正解を持っているのは、経営視点を持つその企業の採用担当者だけです。

例えば、以下のように企業の「欲しい人材像」によって、AIへの向き合い方は180度変わります。

業種・職種

求める要素

ES選考の再定義(例)

A社(コンサル等)

合理性とスピード

AI使用を「推奨」する。


どのようなプロンプト(指示)で最高品質のアウトプットを出したか、そのプロセスを評価する。

B社(営業・対人折衝)

泥臭さと感情的知性

AIが苦手な「感情」を見る。


AIが削除しがちな「理不尽な状況での葛藤」や「非合理な決断」を深堀りさせる。

他社の真似や、過去の踏襲ではなく、自社のビジネスモデルに立脚した「独自の物差し」を作れるかどうかが勝負の分かれ目です。


4. 「一般論」を封じ、「原体験」を引き出す設問設計

目的が決まれば、次は具体的な設問設計(視点の具現化)です。

AIはWEB上の膨大なデータから「それらしい正解」を導き出すのは得意ですが、「その人固有の体験」や「非合理なこだわり」を描くことは苦手です。

したがって、以下のように設問の解像度を上げます。

・× 従来の設問(AIが得意):

   「学生時代に力を入れたことは何ですか?」

     結果:どこかで見たような、優等生的な回答が並ぶ。

・◎ これからの設問(AIが苦手):

   「その活動の中で、あなた自身の価値観が大きく揺らいだ瞬間はいつですか?」

   「周囲が反対する中で、あえてその選択をした理由と、その時の感情を教えてください。」

     結果:AIでは生成できない、固有の物語と人間性が浮かび上がる。

提出させる書類の目的を「文章作成能力の審査」から、「個人の原体験の発掘」へとシフトさせること。これこそが、AI時代に機能するES選考の鍵となります。

5. 採用担当者一人で抱え込まず、周囲を巻き込む

最後に、「視野」を広げてリソースを活用しましょう。

ここまで「視座の向上」や「設問の再設計」についてお話ししましたが、これらを人事担当者一人で完結させるのは困難です。

  1. 社内の巻き込み(現場連携):
    「本当に活躍する人材の行動特性」を知っているのは、人事ではなく現場の社員です。経営層や現場マネージャーを巻き込み、「今の現場に必要なのは、綺麗な言葉を並べる人か? それとも泥臭い葛藤を乗り越えられる人か?」という議論を尽くす必要があります。

  2. 社外の活用(アウトソーシング):
    膨大なESの読み込みや、新たな評価基準の策定といった実務においては、「社外リソース」の有効活用も視野に入れてください。
    すべてを内製化しようとすると、コア業務である「学生との対話」や「魅力付け」がおろそかになります。アウトソーシングできる部分は任せ、採用担当者は「自社に合う人材を見極め、口説く」という人間にしかできない業務に集中すべきです。

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まとめ:AIは採用担当者への「挑戦状」。今こそ採用の再構築を

生成AIの登場は、採用担当者にとって「選考を邪魔する脅威」であると同時に、「採用の本質に立ち返る好機」でもあります。

「とりあえず例年通りESを出させる」という思考停止のプロセスを見直し、視座を高く持ち、視野を広げ、視点を鋭くする。

「自社にとって本当に必要な人材要件とは何か?」を突き詰める、またとない機会だからです。

AIには見いだせない、あなたの会社だけの「採用の目的」。

それを言語化し、経営や現場を巻き込んで選考フローに落とし込むことこそが、これからの採用担当者に求められるクリエイティブな仕事です。

「そうは言っても、評価基準の再設計をどこから手をつければいいかわからない」

「現場を巻き込むためのロジックが欲しい」

「マンパワーが足りず、新しい選考フローを回せる自信がない」

もしそのようなお悩みをお持ちであれば、ぜひ一度、当社のコンサルティングチームにご相談ください。

貴社の「採用の目的」を再定義し、AI時代に勝ち抜くための戦略設計から実行支援まで、私たちが伴走いたします。

変化を恐れず、採用のあり方をここから一緒に変えていきましょう。


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宮本一平
宮本一平
2014年入社。営業マネージャー。企業の採用・教育に対して戦略的・包括的サポートを行う。採用においては、トレンドに合わせて採用難度の高い「機電系」特化の大量採用の採用フロー設計やコンテンツ設計を担当し、また設立間もない「ベンチャー企業」の採用戦略設計や実務運用フォローアップなども行う。教育においては、セールスだけでなく講師も兼任し、企業ニーズに合わせたプログラム設計から、階層別研修の全体設計までトータルプロデュース。戦略的人事コンサルタントとして、採用・教育ノウハウをクライアントに還元すべく、セールスフィールドにいることをモットーとしている。プライベートでは、看護師の妻を持ち、2人の男の子の父親で、自らが外遊び大好き「全力少年」。

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