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【採用担当者必見】就活生の「生成AI活用(ES・自己PR等)」を見極めるための3つの新評価軸

近年急増する就活生の生成AI活用。「ESのレベルは高いが面接で深まらない」とお悩みの採用担当者向けに、AIネイティブ世代の真の資質を見抜くための選考対策と、新たな3つの評価軸を徹底解説します。

目次[非表示]

  1. 1.はじめに:今年の就活生、みんな「優等生」に見えませんか?
  2. 2.1. なぜ従来の手法が通じないのか?「持ち帰りテキスト」の無力化
  3. 3.2. AI時代に導入すべき「3つの新評価軸」
    1. 3.1.① 【真正性】綺麗な「成果」より、泥臭い「感情とプロセス」
    2. 3.2.② 【瞬発力】過去の「ガクチカ」より、未来の「シチュエーショナル」
    3. 3.3.③ 【身体性】テキスト情報より、非言語情報
  4. 4.3. 「でも、現場の負担が増えるのでは?」という懸念に対して
  5. 5.4. 逆転の発想:「AIリテラシー」を評価項目にする
  6. 6.まとめ:AIという「鎧」を脱がせ、学生の「素」に向き合う
    1. 6.1.貴社の選考プロセスは、AI時代に対応できていますか?

はじめに:今年の就活生、みんな「優等生」に見えませんか?

「今年のエントリーシート(ES)、やけに文章レベルが高くないか?」

「面接でみんな同じような『整った回答』をしてくる……」

採用現場の最前線に立つ皆様、このような違和感を抱いてはいないでしょうか。

結論から申し上げます。その直感は、100%正しいものです。

2023年以降、ChatGPTやGeminiといった生成AIが爆発的に普及しました。今の就活生にとって、AIはもはや「カンニングペーパー」ではなく、当たり前の「就活ツール」です。自己分析の壁打ち、ESの添削、完璧な想定問答集の作成――彼らはAIという強力な武器で武装しています。

これまでの採用基準であった「論理的思考力」や「文章構成力」だけで評価しようとすれば、AIをうまく使った学生が上位を独占し、本来のポテンシャルを持った原石を見落とすリスクがあります。

本コラムでは、AIネイティブ世代の採用において企業側が取るべき「選考プロセスの再設計」について、明日から使える具体的な対策をご紹介します。

1. なぜ従来の手法が通じないのか?「持ち帰りテキスト」の無力化

これまでの初期選考、特にES選考では、「時間をかけて推敲されたテキスト」を評価してきました。しかし、生成AIの登場により、この前提は崩壊しています。

AIを使えば、「私の強みは粘り強さです」というたった一文から、STAR法(Situation, Task, Action, Result)に基づいた完璧なエピソードを数秒で生成可能です。

その結果、何が起きるか。「平均点以上の優等生」の大量生産です。

以下の表をご覧ください。これまでの評価軸がいかに機能しなくなっているかが分かります。

評価項目

これまでの前提

AI時代の現実

ESの完成度

時間と労力をかけた証拠(熱意)

プロンプト入力数秒の成果(効率)

論理構成力

地頭の良さの証明

AIツールの基本機能

語彙力

教養の高さ

AIの学習データの量

想定問答

準備量の多さ

暗記量の多さ


このように、私たちがこれまで「優秀さ」の指標としてきたものは、今や「ツールの性能」になり替わってしまいました。

スクリーニング機能が麻痺し、本来会うべきではない層までが面接に進んでしまう。そして面接官は、学生が暗記してきた「AI製・想定問答」の皮を剥がすことに時間を奪われ、本質的な対話に至らないまま時間切れになる――。

これが今、多くの企業で起きている「採用現場の静かなる崩壊」です。

2. AI時代に導入すべき「3つの新評価軸」

では、私たちはどうすればよいのでしょうか。

「AIの使用を禁止する」ことは不可能ですし、実務でAIを活用する現代においてナンセンスです。

重要なのは、「AIには模倣できない領域」に評価の重心を移すことです。当社では、以下の3つの軸への転換を推奨しています。

① 【真正性】綺麗な「成果」より、泥臭い「感情とプロセス」

AIが生成するエピソードは論理的で美しいですが、どうしても欠けてしまうものがあります。それは「負の感情」と「細部のリアリティ」です。

AIは一般的な「正論」や「ポジティブな解決策」は得意ですが、人間特有の葛藤、嫉妬、迷いといったドロドロした感情を描写するのは苦手です。あえてここを深掘りすることで、そのエピソードが実体験かどうかの「解像度」が見えてきます。

・Before(成果重視):

  「学生時代に頑張ったことは何ですか?その成果は?」

・After(プロセス・感情重視):

  「その活動の中で、一番腹が立ったことや、逃げ出したいと思った瞬間はいつですか?」

  「その時、具体的にどう感情を処理しましたか?」

  「あの時AではなくBを選んだ、心情や理由は何ですか?」

② 【瞬発力】過去の「ガクチカ」より、未来の「シチュエーショナル」

「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」や「自己PR」は、事前にAIで完璧な台本を作れます。

対策として有効なのが、その場での思考力を問う「シチュエーショナル・インタビュー(状況面接)」です。

質問例:

「今、君が当社の新人で、お客様から理不尽なクレームを受けたとします。上司は不在です。最初の第一声、君なら何と言いますか?」

この問いに正解はありません。そして、事前学習データ(AI)に頼ることもできません。

その場で状況を定義し、自分の価値観で判断して言葉を発する。この「思考の瞬発力」こそ、AI時代に求められる真の素養です。

③ 【身体性】テキスト情報より、非言語情報

初期選考において、テキスト(ES)への依存度を下げ、「非言語情報」を取り入れる企業が増えています。

  • 録画面接(動画面接):
    30秒〜1分の自己PR動画を提出させる。AIが書いたスクリプトを棒読みしていないか、自分の言葉で熱を持って語っているかを確認できます。

  • リアルタイム・ライティング:
    説明会や適性検査の会場で、その場で短文を書かせる。自宅で作成したESと、その場で書いた文章に著しい乖離がないかを確認します。

3. 「でも、現場の負担が増えるのでは?」という懸念に対して

ここまで読んで、多くの採用担当者様はこう思われたかもしれません。

「言っていることは分かるが、一人ひとりをそこまで深掘りする時間もスキルもない」と。

その不安はもっともです。しかし、視点を変えてみてください。

AIで武装した学生を従来の方法で通してしまい、入社後に「こんなはずじゃなかった」とミスマッチが発覚するコスト。

あるいは、AIを使っているだけで実は優秀なポテンシャルを持つ学生を、「なんか怪しい」という理由だけで落としてしまう機会損失。

これらと比較すれば、選考プロセスを少し変えるコストの方が圧倒的に低いのです。

全ての質問を変える必要はありません。面接の中にたった一つ、「答えのない問い(シチュエーショナル)」を混ぜるだけでも、学生の目の色は変わります。その瞬間の反応こそが、真実です。

4. 逆転の発想:「AIリテラシー」を評価項目にする

最後に、競合他社があまり語らない視点をお伝えします。

それは「AIを使いこなす能力(AIリテラシー)」を評価してしまうという考え方です。

これからのビジネスパーソンにとって、AIを活用できることは必須スキルです。「AIを使わせない」のではなく、「AIという道具をどう使うか」も立派な選考基準となり得ます。

インターンシップやグループワークでは、あえて「生成AIの使用OK」と明言してみてください。そうすると、学生は二極化します。

  • A層: AIが出した回答をそのまま発表する学生(思考停止)

  • B層: AIに的確な指示(プロンプト)を出し、出てきた回答を批判的に修正して、より良い解を導く学生(司令塔)

私たちが欲しいのは、間違いなくB層の学生です。

AIを隠させるのではなく、AIを使わせることで、かえってその学生の「地頭」や「批判的思考力」が浮き彫りになるのです。

まとめ:AIという「鎧」を脱がせ、学生の「素」に向き合う

生成AIの登場は、採用活動における「化けの皮」をより精巧にしました。しかし、恐れる必要はありません。

どれだけツールが進化しても、最終的に仕事をするのは「生身の人間」だからです。

  • 準備できない問い(瞬発力)

  • 人間臭い感情の深掘り(真正性)

  • 非言語のコミュニケーション(身体性)

この3点を選考プロセスに組み込むことで、AIという鎧を脱がせ、学生本来の魅力やポテンシャルを見抜くことができます。

AI対策は、決して「学生を疑うこと」ではありません。

「便利なツールに頼らずとも、自分の足で立てる人間かどうか」を確認する、愛あるプロセスなのです。

貴社の選考プロセスは、AI時代に対応できていますか?

株式会社採用総研では、最新のAI事情を踏まえた「採用要件の定義」から「面接官トレーニング」「評価シートの再設計」まで、トータルでご支援しております。

  • 「今の面接マニュアルが時代に合っているか診断してほしい」

  • 「シチュエーショナル・インタビューの具体的な質問集が知りたい」

とお考えの採用担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。AIに負けない、本質的な採用活動を一緒に作り上げましょう。

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【採用総研コンサルティングサービス】


山岡龍市
山岡龍市
2018年入社。 小規模~大規模まで、企業規模を問わず、新卒採用のサポートを実施。 中でも採用が難しいとされる施工管理職としての理系採用でのコンサルティング実績多数。 ターゲティング採用やマッチングイベントなど、企業からのアプローチ型(攻めの)採用に精通し、現在はセクションリーダーとして若手社員教育も手掛ける。 また、内定者/新入社員研修の講師も兼任し、採用後の社員定着まで見据えたトータルの提案が得意。 その他、採用ノウハウセミナーにも多数登壇実績あり。

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