
「大丈夫です」を信じるな。久しぶりの新卒採用で陥る、新人が「退職届」を出す直前の無言のサイン
【この記事を読んでいただきたい方】
数年ぶりに(あるいは初めて)新入社員を採用し、受け入れに緊張感を持っている人事・教育担当者
最近の若手の「本音が見えない」「何を考えているか分からない」と不安を感じている経営層
新人の受け入れを機に、「勘や経験に頼らない人材管理(タレントマネジメント)」を始めたいと考えている方
所要時間:約5分
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はじめに:「突然の退職」は、実は突然ではない
久しぶりの新卒採用、あるいは初めての受け入れ、本当にお疲れ様です。
社内には「新しい風が入ってくる」という期待がある一方で、担当者様の心には大きな不安があるのではないでしょうか。
「昔と違って、今の若手はすぐに辞めてしまうのではないか?」
その不安は、残念ながら的中するリスクがあります。
特に警戒すべきは、「笑顔で『大丈夫です』と答える新人」です。
かつての新人は、不満があれば顔に出したり、愚痴をこぼしたりしました。しかし、Z世代を中心とする今の若手は、衝突を避けるために「過剰適応(無理して馴染むフリ)」をします。
そして、人事が「彼は順調そうだ」と安心した矢先、ある日突然、退職代行業者を通じて連絡が来るのです。
しかし、彼らは決して「無言」だったわけではありません。退職を決意する直前、彼らは人事にだけ分かる「小さなSOSサイン」を発しています。
本記事では、久しぶりの採用だからこそ見落としがちな、新人が発する無言のサインと、それをデータと対話で防ぐための「リスク管理(タレントマネジメント)」について解説します。
1. なぜ「大丈夫です」と言うのか? リアリティ・ショックの正体
入社後3ヶ月〜半年は、理想と現実のギャップに苦しむ「リアリティ・ショック」が最も起きやすい時期です。
「思っていた仕事と違う」
「配属先の先輩と合わない」
「成長できている気がしない」
久しぶりに新人を迎える企業では、受け入れ体制が整っておらず、新人がこのショックを強く感じやすい傾向にあります。
しかし、彼らはそれを口にしません。なぜなら、「せっかく採用してもらったのに申し訳ない(いい子でいなければ)」という真面目さと、「言っても無駄だ(どうせ変わらない)」という諦めが同居しているからです。
その結果、彼らは「大丈夫です」という「仮面」を被ります。
この仮面の下で、退職のカウントダウンは始まっています。これから紹介するサインは、その仮面がズレた瞬間に見えるわずかな予兆です。
2. 見逃してはいけない「無言のサイン」
人事担当者だけが気づける、退職直前のサインには以下のようなものがあります。
サイン①:デジタルの「温度感」が下がる
SlackやTeams、LINEなどのチャットツールに注目してください。
入社当初は絵文字を使ったり、「!」をつけていた返信が、徐々に「了解しました」「承知いたしました」だけの短文・即レスになっていませんか?
これは「業務効率化」ではありません。「感情の遮断」です。組織への愛着(エンゲージメント)が切れかかっている時、彼らはコミュニケーションコストを最小限にしようとします。
サイン②:「質問」がなくなり、「従順」になる
現場から「あの子、最近手がかからなくなったよ」と報告があったら要注意です。
新人が質問をしなくなる理由は、仕事を覚えたからとは限りません。「もう、この会社で学ぶ意欲がなくなった」可能性があります。
特に、以前は「これってどうやるんですか?」と聞いてきた子が、急に「はい、分かりました」としか言わなくなった場合、それは納得したのではなく、「諦めた(心を閉ざした)」サインです。
サイン③:小さな「欠席・遅刻」と「カメラオフ」
「体調不良で休みます」が増える前に、予兆があります。
オンライン会議で「カメラをオフにする頻度」が増えたり、出社時に「挨拶の声が小さく」なったりしていませんか?
これは心理的負荷が限界に達し、「自分の姿を隠したい(消えたい)」という無意識の防衛反応が出ている証拠です。
3. 「勘」と「善意」だけの管理には限界がある
これらのサインに気づいた時、人事はどう動くべきでしょうか?
多くの企業がやりがちな失敗は、「上司や人事が面談をして『悩みはないか?』と聞くこと」です。
断言しますが、これで本音が出てくることは稀です。
なぜなら、新入社員にとって上司や人事は「自分の評価を決める利害関係者」だからです。「悩みがあります」と言うことは、「私は能力がありません」と告白するのと同じ恐怖なのです。
また、久しぶりの採用だと、どうしても「現場の勘」や「先輩社員の善意」に依存した管理になりがちです。
しかし、Z世代の適性やスキル、メンタル状態は、ベテラン社員の経験則だけでは測りきれません。
「あの子は大丈夫そう」という主観的な判断が、一番のリスクなのです。
4. 「対話(研修)」と「データ(システム)」で守る
最悪の事態を防ぐためには、精神論ではなく、客観的な仕組みが必要です。
当社では、以下の「ソフト(対話)」と「ハード(データ)」の両面からのアプローチを推奨しています。
① 第三者による「ガス抜き」の場(新入社員フォローアップ研修)
利害関係のない外部講師だからこそ、新人は本音を吐き出せます。
「実は、先輩のこういう言い方が辛くて…」といった小さな不満を早期に拾い上げ、マインドセットを再構築します。第三者が間に入ることで、新人の孤独感を解消することが可能です。
② 勘に頼らない「タレントマネジメント」の導入
新入社員の受け入れは、組織全体の「人材管理」を見直す絶好のチャンスです。
新人のスキル、性格適性、コンディション、面談記録などを「タレントマネジメントシステム」で一元管理することで、無言のサイン(コンディションの低下など)をデータとして早期発見できます。
「システムを入れるほどではない」と思われるかもしれませんが、少人数の組織こそ、属人化を防ぐためにデータの力が有効です。
まとめ:一人で抱え込まず、プロの「第三者の目」と「仕組み」を頼ってください
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
久しぶりの新入社員受け入れは、企業にとっても大きな挑戦です。
「大切に育てたい」という皆様の想いが強いからこそ、空回りしてしまった時のショックは大きいものです。
「新人が何を考えているか分からず、不安だ」
「現場が忙しそうで、ケアが行き届いているか心配だ」
「もし急に辞められたら、どうしよう…」
そんな不安を、人事担当者様一人で抱え込まないでください。
当社は、新入社員の定着を支援する「受け入れ研修」「フォローアップ研修」の実施はもちろん、新人の入社をきっかけとした「タレントマネジメントシステムの導入・運用サポート」まで、ワンストップで支援できる数少ないパートナーです。
「まずは研修で様子を見たい」
「これを機に、社員の情報をデータ化して管理したい」
どのような段階でも構いません。「まだ退職者が出たわけではないけれど、念のために相談したい」という段階でのご相談も大歓迎です。貴社の状況に合わせた、最適なフォロー体制を一緒に考えましょう。
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