
その内定者フォロー、入社意欲は上がっていますか|26卒調査で見る、効果のある施策・ない施策
10月1日の内定式が近づいてきました。内定式を境に、内定者フォローの目的は「内定辞退の防止」から「社会人としてスムーズなスタートを切るための準備」へと移っていきます。
ところが、実際に何をどれくらいの頻度でやればよいのかは、意外と手探りではないでしょうか。懇親会は対面かオンラインか。連絡は月1回で足りるのか。課題を出すべきか、負担になるのか。
本コラムでは、2026年4月に入社した26卒の入社予定者924名と、企業1,064社への調査データをもとに、「実際に入社意欲が上がったフォロー」と「上がらなかったフォロー」を数字で整理します。27卒(2027年4月入社)の内定者フォロー設計に、そのまま使える形でまとめました。
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内定式を境に、内定者フォローの目的は変わる
10月の正式内定(内定式)を境に、内定者フォローの目的は「内定辞退の防止」から「社会人としてスムーズなスタートを切るための準備」へと移っていきます。
ただし、目的が変わったからといって、内定者の不安がなくなるわけではありません。むしろ入社日が近づくほど、不安の中身は具体的になっていきます。まずはそこから確認していきましょう。
内定者の93.4%が、入社までに不安を感じている
内定期間中の不安について尋ねると、「不安を感じた」と回答した学生は93.4%にのぼりました。「感じたことはない」はわずか6.6%です。ほぼ全員が、何らかの不安を抱えたまま入社日を迎えているということになります。
不安の中身は「会社選びへの後悔」ではない
注目したいのは、不安の中身です。上位に並ぶのは次の3つでした。
上位3つはいずれも、「人間関係」「仕事」「生活」という、入社後の日常に関する不安です。一方で「もっと自分に合う会社があるのではないか」は26.4%と下位にとどまり、「内定を取り消されることはないか」は13.3%でした。
入社直前でも、4割が「活躍できる自信がない」
入社を間近に控えた2月時点の心境を見ると、その傾向はさらにはっきりします。
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
入社予定企業への迷いや不安が「ない」学生は72.1%、内定取得時より現在の方が入社意欲が高い学生は65.4%と、全体としては前向きです。
しかし、「入社予定企業で活躍できる自信がない」は41.1%、「学生のままでいたい」は46.8%にのぼります。入社の意思は固まっていても、自信と覚悟はまだ揺れている──ここが内定者フォローの出番です。
入社意欲が「上がる施策」と「上がらない施策」
では、どのフォローが実際に入社意欲を高めたのでしょうか。実施率(受けた人の割合)と、受けた人のうち入社意欲が高まったと答えた割合を掛け合わせると、施策の性格がはっきり分かれます。
※「入社意欲が高まった割合」は、実際にそのフォローを受けた人を分母として算出。「人事以外の社員からの定期連絡」「家族への説明会、会社見学会」は経験者が少ないため除外。
内定式より効いているのは、内定式の「あと」
実施率が最も高いのは「内定式」と「内定者懇親会(対面)」で、ともに73.9%。ところが入社意欲が高まった割合を見ると、内定式は44.7%、内定者懇親会(対面)は65.5%と、20ポイント以上の差がつきました。
「社員を交えた懇親会(対面)」も実施率56.3%に対して54.4%と高い水準です。式典そのものより、そのあとに続く"直接会って話す時間"のほうが、意欲を動かしていると読み取れます。
対面とオンラインの差も明確です。内定者懇親会は対面65.5%に対してオンライン27.7%、社員を交えた懇親会は対面54.4%に対してオンライン31.8%。同じ懇親会でも、対面は倍近い効果を出しています。
最大の落とし穴は「人事からの定期連絡」
もっとも注意したいのが「人事からの定期連絡(電話、メールなど)」です。56.2%の内定者が受けているにもかかわらず、入社意欲が高まったのは15.3%にとどまり、全施策の中で最も低い数字でした。
連絡を取ること自体が悪いわけではありません。連絡は「不安にさせない」ための土台であって、「意欲を上げる」施策ではない、ということです。定期連絡だけでフォローした気になっていると、手間はかかっているのに意欲は動かないという状態になります。
実施率18.2%、効果40.3%の「見学会」
逆に、伸びしろが大きいのが「社内や施設などの見学会」です。実施率は18.2%と2割弱にとどまる一方、入社意欲が高まった割合は40.3%と、内定式(44.7%)に迫る水準にあります。
実際に働く場所を見て、そこで働く人に会う。前章で見た「人間関係」「仕事」「生活リズム」という3大不安に、まとめて答えられる施策です。大がかりな企画を組まなくても実施でき、人員や予算に制約のある企業ほど費用対効果が高い打ち手といえます。
フォローの頻度は「月1回以上」が目安
次に、フォローの頻度を見ていきます。内定後にどのくらいのペースでフォローを受けたか、そして正式内定直後の10月時点でどのくらいを希望していたかを比べたのが次の表です。
内定者が希望していた「月1回以上」は49.2%。これに対して実際に月1回以上のフォローを受けた人は35.0%にとどまりました。全体として、実際の頻度は内定者が望んでいたよりも少なかったということになります。
では、頻度の違いが満足度にどう表れるのか。受けた頻度でグループ分けをすると、はっきりとした境目が見えてきます。
内定者研修|足りないのは「双方向のオンライン」
内定後に課題や研修があったという学生は68.2%。約7割が何らかの学習機会を与えられています。その形態を、10月時点で希望していたものと比べてみます。
最も差が大きいのは「オンラインでの集合研修」で、希望36.9%に対して実際は17.1%と19.8ポイントの開きがあります。次いでeラーニング(10.7ポイント差)、通信教育(7.9ポイント差)、対面での集合研修(7.4ポイント差)の順です。
逆に、実際のほうが多かったのは「自主学習」(+7.3ポイント)と「課題図書」(+8.1ポイント)。一人で黙々と取り組む形式は供給過多、他の内定者や社員と顔を合わせながら学ぶ形式は供給不足という構図が浮かび上がります。
満足度が最も高いのは「実務に直結する専門知識」
学習内容についても、実施率と「受けてよかった割合」を並べると発見があります。
※「受けてよかった割合」は、実際に受けた人を分母として算出。
実施率が最も高いのは「社会人としての心構え」(42.3%)ですが、受けてよかった割合は59.1%と全項目中で下から2番目。一方、「資格取得・業界特有の専門知識」は受けてよかった割合86.8%とダントツのトップです。簿記、宅建、情報処理技術者、FP、販売士検定などが該当します。
「英語」(68.5%)、「ビジネスマナー」(67.1%)、「自社の商品・サービスの知識」(66.0%)も高い水準です。成果が目に見えて残るもの、入社後すぐ使えるものほど満足度が高いという傾向がはっきり出ています。
企業と学生の「41.2ポイント」のギャップ
ここまで施策ごとの効果を見てきましたが、そもそも企業が意識していることは、学生に届いているのでしょうか。企業調査と学生調査を並べると、無視できない差が見えてきます。
企業が最も意識しているのは「入社意欲の維持、醸成」で74.2%。ところが、それを実感している学生は33.0%にとどまり、41.2ポイントもの開きがあります。
一方で「学生から社会人への意識変革」は、企業45.7%・学生42.7%とほぼ一致しています。この差は、フォローの設計を考えるうえで示唆的です。
企業規模で変わるスタンス、変わらない悩み
企業側の実態も見ておきましょう。内定期間中のフォローのスタンスを従業員規模別に集計すると、次のようになります。
いずれの規模も「それなりにフォローする」が過半数を占めますが、規模が大きくなるほど「手厚くフォローする」の割合が増え、1000人以上の大手企業では38.9%にのぼります。内定者の人数が多いこともあり、大手ほどフォローに力を入れている企業が多いようです。
一方、悩みは規模を問わず共通しています。
全ての規模で最多だったのが「内定者のニーズの把握」(49.3〜65.1%)。次いで「メニューの選択・作成」「メニューのマンネリ化」が続き、内定者に効果的なメニューをどう組むかに悩んでいる点は共通しています。「スタッフの不足」「学業との兼ね合い」も、規模を問わず3割以上が課題に挙げました。
10月から3月までの内定者フォロー設計
ここまでのデータを踏まえた、月別の設計例です。
※大学の後期試験は1月24日・25日前後から2月上旬、春休みは試験終了後から3月末までが一般的です。学業スケジュールと重ねて設計してください。
よくあるご質問
Q. 内定者フォローはどのくらいの頻度で行うべきですか?
A. 月1回以上が理想です。26卒調査では、月1回以上のフォローを受けたグループの87.5%が「ちょうどよい」と回答し、「少ない」はわずか7.1%でした。隔月でも85.0%が「ちょうどよい」としていますが、3カ月に1回以下になると34.2%が「少ない」と感じています。なお「多い」と感じた人は全体で3.1%と少数で、頻度が多すぎることを心配する必要はほとんどありません。
Q. 内定者懇親会は対面とオンライン、どちらが効果的ですか?
A. 対面です。内定者懇親会で入社意欲が高まった割合は、対面65.5%に対してオンライン27.7%。社員を交えた懇親会でも、対面54.4%に対してオンライン31.8%と、いずれも対面が大きく上回りました。ただし遠方在住の内定者への配慮として、オンラインを併用する選択肢は持っておきたいところです。
Q. 内定者フォローで最も効果が高い施策は何ですか?
A. 「内定者懇親会(対面)」です。実施率73.9%に対し、入社意欲が高まった割合は65.5%と最も高い数字でした。次いで「社員を交えた懇親会(対面)」(54.4%)、「内定式」(44.7%)、「社内や施設などの見学会」(40.3%)が続きます。特に見学会は実施率18.2%と低く、伸びしろの大きい施策です。
Q. 内定者に課題を出すべきでしょうか?
A. 26卒では68.2%が何らかの課題や研修を受けており、多くの学生が前向きに捉えています。ただし内容の選び方が重要です。「受けてよかった」割合が最も高いのは「資格取得・業界特有の専門知識」で86.8%。汎用的なマナー研修よりも、実務に直結し成果が形に残るものが評価されています。また、卒業論文の時期と締切が重ならないよう配慮してください。
Q. 内定者の不安にはどう対応すればよいですか?
A. 内定者の93.4%が不安を感じており、上位は「入社後の人間関係」(58.5%)「仕事についていけるのか」(57.9%)「社会人の生活リズム」(57.9%)です。いずれも入社後の日常に関する不安であり、会社選びへの後悔ではありません。自社の魅力を伝えるより、誰と働くのか、1日の流れはどうなるのかといった具体的な情報を渡すほうが的確に効きます。
まとめ
26卒の調査データから見えた、内定者フォロー設計のポイントを整理します。
内定者の93.4%が不安を抱えている。中身は「人間関係」「仕事」「生活リズム」で、会社選びへの後悔ではない
入社直前でも41.1%が「活躍できる自信がない」。入社意思と自信は別物
最も効くのは対面の懇親会(内定者懇親会65.5%、社員を交えた懇親会54.4%)。内定式そのものは44.7%
「人事からの定期連絡」は実施率56.2%に対し効果15.3%。連絡は土台であって、意欲を上げる施策ではない
「見学会」は実施率18.2%・効果40.3%の伸びしろ施策。予算をかけずに3大不安に答えられる
頻度は最低でも隔月、可能なら月1回。3カ月に1回以下だと3割超が「少ない」と感じる
研修は「オンライン集合型」が19.8ポイント不足。満足度が高いのは実務直結の専門知識(86.8%)
企業が意識する「入社意欲の維持」は41.2ポイント伝わっていない。意欲は経験の結果としてついてくる
内定式から入社までの半年間は、内定者にとって「学生から社会人へ」の助走期間です。この期間の設計次第で、入社初日のコンディションは大きく変わります。
株式会社採用総研では、内定者フォローの設計から内定者研修、新入社員研修の実施まで一貫してご支援しています。「今のフォロー内容で足りているのか」「何から手をつければよいのか」でお悩みの採用ご担当者様は、お気軽にご相談ください。
※本記事のデータは、株式会社キャリタス「調査データで見る『入社に向けた内定者フォロー』-2026年卒調査-」(2026年8月発行)によります。学生調査は「キャリタス就活2026 学生モニター調査」(2025年10月調査:回答1,040人/2026年2月調査:回答924人)、企業調査は「新卒採用に関する企業調査」(2025年10月調査:1,219社/2026年2月調査:1,064社)。調査機関:株式会社キャリタス/キャリタスリサーチ。





